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漫画 『舞う竜の記憶』 菅原雅雪 著

 先日注文した漫画が届きました。白い大きめの封筒を二つ折りにしたクロネコメール便で。特に緩衝材は入ってませんが、ものは綺麗でした。本はビニール袋に入れられて、他にCORKの納品書とダウンロードのプレゼントコードが印刷された紙が一緒。納品書はA4の紙で二つ折りにされてましたが、本の表紙もモノクロで印刷されてたので、分かりやすいかな。大きいので他のものと一緒に入れるなら邪魔ですけどね。
 注文やデジタル版の詳細、リンクは前回の記事をどうぞ。

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 製本版は表紙はカラー、裏は真っ白。A5ですかね。印刷所が栄光で、同人誌でもありそうな簡素なスタイル。108ページ、厚みは約7mmです。編集は佐渡島康平。TVにも出てたコルクの代表ですね。2014年11月23日第1刷発行です。表紙絵は、薄い花の色とか、恐竜のしぐさと顔の色とか、日本画的な落ち着いた雰囲気でいい感じです。

 序盤粗筋。「彼」は若い二足歩行の羽毛恐竜。ほっそりとしていてどちらかといえば小型、長い爪を持つ前足で獲物を捕まえ、前腕や背中に少しだけある羽根などを広げて踊り、雌を誘う。ようやく番(つがい)が見つかり、やがて子供たちも生まれ、順調に見えた生活だったが、ある日空から黒い球体のようなものが降りてくる。暴君とも呼ばれる巨大肉食恐竜の前にやってきた球体から宇宙服らしきものを着たヒトガタの生き物が現れ、暴君を眠らせ捕らえる。見れば他にも続々と球体に囚われいく恐竜たち。「彼」は急ぎ巣に戻るが、番は子を守り死んでいた。ついに球体が「彼」と子供たちを捕らえ、それは空高く登っていく。上空には巨大な宇宙船があり、そこに恐竜たちは運ばれていった。

 あ、恐竜が喋るみたいに翡翠さんが描かれてましたが、厳密には恐竜は喋りません。恐竜は恐竜の意識なので言語も細かい会話もない描写。

 以下、少しネタバレ。

 粗筋その二。

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 恐竜たちを連れてきた宇宙人は、実は寄生生物だった。一見、個体は三つ目の猿人の姿だが、脊髄に繋がるところに寄生している巨大なウミウシのようなものが本体。彼らは長い年月、宇宙船で旅をし、新たな宿主を求めてこの星に降り立ち、各種の恐竜たちを集めていたのだ。同じ炭化水素系生物をようやく見つけた彼らは、その長き生涯においてもなお永い年月の旅の焦りで、拙速ではあるが移植、融合を開始する。本来は小型のものにするべきところを、先発である強襲部隊は暴君など肉食恐竜に寄生する。最初に暴君に接しようとした強襲部隊のコマンダー・テンラグは、それに融合後からその野生に浸り始め、肉を喰いたいと叫ぶ。
 一方一般志願者のルフルスは「彼」に寄生する。強襲部隊が主に大型のものを選んだため、一般でありながら小型恐竜に早々に融合できたのだ。しかし直後から、ルフルスは奇妙なイメージが浮かぶようになる。それはその「彼」の子供たちのイメージだった……。


 というわけで、恐竜の話でもあり、宇宙からの侵略者の話でもあります。一見、宿主に寄生したルフルスが主人公なのですが(全四章立てのうち三章はほぼ彼をメインとして話を追う)、相対するテンラグも含め、宿主にあたる恐竜たちの本能的な思い、支配しよう、それに対しての子を守ろうという思いが主役と言っていい。タイトルが記憶とあるのはそれもあって、ラスト、そしてエピローグに繋がっていく。連綿と続く生き物の思いがテーマとも言える。物語としても、星からすれば小さい場所での出来事ながら、この星の歴史上での大転換期に繋がるスケールでした。ただその最後のスペクタクルってのは正直いまいちで、スケール感は小さめ。なにせ見開きもなく三ページで終わったので(笑)。映画だとハリウッドでなくても結構派手に長めに描きそうなシーンなんですけどねえ。スペクタクル系の人なら絶対見開き入れる(笑)。そして星野さんとか竹宮さんのあの漫画のスペクタクルシーンみたいに静かな余韻ももう少し長めに入れる。

 エピローグは少し唐突なところに行った気もしますが、「舞う」ということでなるほどと、良い読後感でした。あちらの神話には鳥も絡みますしね(いやどこでもあることはあるだろうけど、これはいい絵になってる)。それに化石がよく出るのは中国だから、そっちからの分布でエピローグの地が出てきたと思えば納得。


 さて「彼」ですが、調べてみるとどうもカウディプテリクスという恐竜かそれをモデルにしたものでしょうか。リンク先の絵はあまり似てませんが、羽毛を持った恐竜でクチバシのあるものがこれしか見当たらないので。化石は中国で発見されましたが、身体に羽毛があることで、鳥類はこうしたものから進化したのだろうとされました。尾羽竜という和名もあるそうですが、漫画の「彼」は毛はあるけど尾羽根はないな。子竜を食ったやつは同サイズだし、ヴェロキラプトルかなあ。他の羽毛恐竜は2m超で、カウディプテリクスより大きくなります。テンラグが融合したのはもちろんティラノサウルスですね。ちなみにカウディプテリクスは白亜紀前期、ティラノサウルスは白亜紀後期が生息時期で結構ズレるので、恐竜の名前は出さなかったのかな。恐竜の絶滅時期にティラノサウルスがいるかいないかならわからなくもないので、「彼」はカウディプテリクスの子孫と考えてもいいかも。


 訂正と追記。
 購入後、付録のコードでマグネットからデジタル版のダウンロードもしました。そこで作者の菅原さん名義のメールが送られてきて、おまけでボツ画であるお礼画像ページのリンクがついてました。そこで主役の恐竜の正体が判明。モンゴルで発見されたオビラプトル(またはオヴィラプトル)だそうです。そういえばカウディプテリクス調べてたときもオヴィラプトルって名前がどっかで出たな。調べてみるとティラノサウルスと同じく白亜紀後期の恐竜だそうで、カウディプテリクスと似てはいますが別物でした。

 オビラプトルという名前は「卵どろぼう」という意味で、1920年代に発見されたときプロトケラトプスの巣と卵とともにいたから、卵を盗もうとして死んで化石になったと思われての命名だそうです。しかし1993年にオビラプトル自身の卵も発見され、おそらく卵を温めていたときに、砂嵐か何かで死んだのではと今は言われているとか。言われてみれば、卵泥棒の汚名返上の話は私も聞いたことあります。名前は忘れてましたが。この卵のエピソードがこの漫画のきっかけの一つであろうことは想像に難くないですね。第1章の巣で死んでいる雌とか、ルフルスが子供を守り生き延びさせようと命をかけるところとか、この卵にかぶさって死んでいたオビラプトルのイメージと被ります。あと、上のリンク先の川崎悟司さんの「古世界の住人」は以前も見ましたが、オフィシャルブログともに、生き物の絵にリアルとコミカルが同居してて記事も楽しいのでお薦めです。

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