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BD『処刑ライダー』

 処刑ライダー

 陰謀と破壊と犯罪の渦巻くアリゾナに蘇る地獄の騎士
 卑小な悪に立ち向かう地獄の騎士、処刑ライダー

 今日、彼を待ち受けるものは、果たして、誰か

 ……そりゃ、ナイトライダーだってば。

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 無事に到着しました(といっても来たのは5月26日の話。この記事寝かせすぎ)BD『処刑ライダー』原題“The Wraith”です。いやー、ようやく手元にコレクションできたわー。VHSはともかく、DVD買い損ねたけどBDで出るとは思わなんだ。世界初のBD化だそうです。

 『処刑ライダー』は、1986年の米映画。監督・脚本はマイク・マーヴィン。正直それほど名の知られた監督ではありません。goo映画のページには三作品、allcinemaのページには九作品しかありません(残る六作品は日本未公開)。この『処刑ライダー』も映画そのものは正直B級映画で凄いものではありませんが、不思議と今でもファンのいるカルト作品になってます。

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 BD初回版には紙ケースと、当時のチラシと劇場パンフレットの縮小復刻版がついてます。こちらがチラシ。裏には近日公開、岐阜ピカデリーのハンコが。調べてみたけど、この劇場も今は無くなってます。

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 こちらは劇場パンフレット。後ろにWraithがいるのはまだしも、なんで中央と左に悪役が(笑)。ヒーローのチャーリー・シーンが右にいてまるで脇役のようだし、三人が仲間で謎の相手と対決する話にしか見えない。当然合成写真だろうし他に使われてはいないし、製作が何故こんな表紙にしたのか全く意味不明なんですが、実は米のポスターでもヒーローとヒロインと悪役二人が一緒にハイウェイを走る光に驚いてる感じの絵なので、どっちもどっち。こんなところもB級の証か。

 あらすじ。
 アリゾナ州の田舎町ツーソン。町を外れれば荒野に道が続くのみ。そこではパッカードをリーダーとする暴走族が高級車などにレースをふっかけ、汚い手で負かして車を強奪していた。そのパッカードにまとわりつかれているケリーの前に、ある日バイクに乗った旅人ジェイクが現われる。恋人のジェミーが殺されてから独り身のケリーだが、ジェイクに惹かれていく。時同じくして謎の黒いターボ・カーも現われパッカードらがレースをふっかけるが、暴走族メンバーはレース中に事故って大爆発。しかし死体はほぼ無傷で何故か目玉だけがくり抜かれていた……。車が激突しても復活するターボ・カー。そしてそれに乗る黒いライダースーツの男の正体は?

 BDの画質はそれなり。ビットレートはAVCで最低が16、平均25で最高38Mbps。HDニューマスターだそうで、さすがにビデオテープの画質とは雲泥の差ですけど。
 音も同じくそれなり。一応英語音声はDTS-HD Master Audio 5.1ch。バーチャルヘッドフォンのせいかもしれないけど、それほどサラウンド感はなし。日本語音声はテレビ朝日での吹き替えを使用しDolby Digital 2ch。もう一つ、監督のオーディオコメンタリーもDD 2chで収録されてます(日本語字幕もあり)。

 音楽はカーアクションシーンにいろんなロック・ミュージシャンの歌が使われていて、サントラもプレミアもの。もっともやはり主題歌やターボ・インターセプターのテーマ曲?が印象深いんですけど。主題歌にのってチャーリー・シーンがバイクでやって来る当たりは今でも印象深い。監督さんは普通に映画にあった音楽にしたかったらしいけど、当時の風潮で有名ミュージシャンを集めたようなサントラにしたいというプロデューサー側の意向に負けたらしいです。いや実際、なんでこんな歌がこんなところで出るというシーンがないこともないしなー。でもラストシーン、悪党を倒して去っていくあたりの静かな曲からスタッフロールの主題歌への流れは好きです。

 主演は若きチャーリー・シーン。謎の旅人ジェイクを演じます。名優マーティン・シーンの息子で、子役から始まり『若き英雄たち』で本格的に映画デビューしたあとの、これからがスタートというところ。本格的に名を知られたのはおそらく同時期の『プラトゥーン』。もっとも出番はわりと短く(監督のコメンタリーによれば、『プラトゥーン』との同時撮影だったとか)、画面に映るのは悪役たちが殆ど。そもそもヒーローとしては、謎の黒いターボ・カーが主役とも言えます。
 ヒロインのケリーにはシェリリン・フェン。これ以後はTVで活躍してるそうで、映画はとくに無し。少し垂れ目のなかなかの美人です。当時はあのジョニー・デップと婚約中で撮影時にホテルにいたとか。監督がキャスティング時に彼を暴走族に採用しようとしたが、プロデューサーは却下したとか(見る目がなかったということですね)。
 町の保安官ルーミスにランディ・クエイド。悪党にはこわもてだが、それ以外には権力を振りかざすこともなくわりと真摯な保安官。当時はTVの「サタデー・ナイト・ライブ」に出ていて、撮影のために行き来してたとか。ケリーの仕事仲間でかつての恋人の弟ビリー役はマシュー・バリー(ブロードウェイの劇作家の息子だそうな)。素朴な田舎の青年がぴったりの顔と演技ですが、ラストのセリフには泣けた。

 悪役のリーダーはニック・カサヴェテス。父は俳優兼監督のジョン・カサヴェテス。インディペンデント映画の巨匠ともいわれ、『アメリカの影』とか『グロリア』で有名。偶然にも今ちょうど父親ジョンの作品が東京で上映されてるそうです(「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ」)。この後は大阪や京都でもするそうですが、もしかしたら高知にも来るかな? この手のは美術館で時々やってるからなぁ。母は女優のジーナ・ローランズ。あの『グロリア』ですよ。ニックも今は監督としても活躍してるそうですが(妹もしてる)、若いころは背の高いなかなかの二枚目。ヒロインに妄執を抱く狂気もかいま見せますが(なんとアドリブも)、いまいちこわくない。今はこわもてのオッサンになってますが(笑)
 暴走族のメカニックのラッグヘッド役(似てると思ったらやはり髪形は『イレイザーヘッド』のあれをまねたものだとか)のクリント・ハワードはなんと映画監督ロン・ハワードの実弟。親も含めて芸能一家だそうで。特異な容貌でおどおどした演技とともに印象深い。出演作も多く、今やかなりの地位を築いてるという感じ。他の暴走族メンバーもなんというかキャラが立っていて(最初に死んだやつと副リーダーはまあまあ)、スカンクというモヒカンぽい髪形のやつとその相棒のちょっとおバカなガットは死ぬのが惜しい悪役でした。おっと、最初に殺されたオギー役はグリフィン・オニール。あのテイタム・オニールの弟だそうで、そばかす顔がかなり似てる。

 本編以外のオマケとして、監督のオーディオコメンタリー、監督のコメント映像、ラッグヘッド役のクリント・ハワードのコメント映像、カースタント絡みのスタッフのコメント映像、予告編(但しTVサイズで左右カットされたもの)、主要スタッフキャストの説明が付いてます。監督の弁を聴くとかなり自画自賛が多い気もしますが、確かにこれくらいの映画にしてはメインキャストの殆どが業界から足を洗ってないのは自慢できるのかも。26年経ってますからね。

 オーディオコメンタリーではシーン毎に細かいエピソードが語られて、なかなかおもしろいです。たとえば撮影は86年の2~3月に行われたので、劇中では夏設定だけど実際はかなり寒くて困ったとか。渓谷で水浴びするシーンがありますので。白い吐息が見えなくて助かったそうですが、実際に水に入るシーンなどでは、なんと岩に樹脂コーティングしてから水を温めてなんとか21度くらいにしたとか……なんという無駄遣い! これこそハリウッド。これでほんとに低予算映画か。町中のあるシーンでも雪が降ったので天幕を周りに張って主役たちの背景に雪が映らないようにしたり。その玄関先のシーンでは、一瞬カップルから白い吐息が……。そりゃ寒いわなぁ。キャストみんな、昼間は短パンとか半袖とかビキニとか着てるんだから、大変だ。

 監督のコメントでは、この作品で死者が出たそうで、その後十年ほど監督業がなかったのはそれのせいらしいです。仕事でカナダに行こうとしたら、首になったりして。干されたんですね。最後のスタッフロールに「……に捧ぐ」という言葉が入ってるんですが、その人が亡くなられたらしい。カースタントを指揮した人のコメントに、撮影中カメラを乗せてスタントカーの前を走っていたスタッフの車が横転しみんな投げ出されたというのがありましたので、どうもその際に亡くなられたのではないかと。スタントの人の話には死者の話は出ませんでしたが(20mの崖下に落ちたスタッフがいたが幸運なことに数少ない岩ではないところに落ちて、奇跡的に無傷だったとは言ってた)。

 それにしても世界初BD化って、どうなの。米ではまだ出てないんだろうかと思って見たら、本当にないみたいで日本のこのBDが通販に乗ってる始末。監督やクリント・ハワードが自慢してたけど、世界各国にファンクラブがあるそうなので(日本にはないと思うが)他で出しても売れると思うんですけどね。

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