きっかけは竹宮恵子さんの漫画『私を月まで連れてって!』のイメージアルバムの話。
『私を月まで連れてって!』は、約30年(!)ほど前に竹宮恵子さんによって描かれた、SFロマンチックラブストーリー?漫画です。lラブコメと言うには少し違うし、実際はラブストーリーというよりシチュエーションコメディな気もしますが。ちょっと先の未来、宇宙飛行士のダンとまだ小さなニナとの年の差カップルの恋愛とその周りのひとたちのすこしSFですこしおかしな物語。
まあ内容は今回おいとくとして、当時漫画のイメージアルバム製作が流行ってまして(今でもありますが、80年代のあのころが第一次ブームだった気がする)、竹宮さんの漫画からもいくつかイメージアルバムが作られていました。有名どころでは既に古典的名作だった『風と木の詩』でしょうが、当時大人気だったこの漫画もレコードになりました。私はこの漫画は雑誌連載追っかけるくらい好きで(「プチフラワー」というハイティーン向け?の少女漫画雑誌)、当然レコード(無論アナログレコードのLPです)も買いました。これがまた漫画のアダルトというかロマンチックなイメージも再現されていて、お気に入りのひとつになりました。テープに録音して随分聞いたものです。続きで二枚目も出ましてそちらも買いましたが、出来はいいものの、アルバムとしては一枚目が好きでした。
というのも、特に今でも強烈に思い出す、タイトルの元ネタにもなった「Fly Me To The Moon」。それまでに私が聞いたことのあるのは明るく飛び跳ねるような女性ボーカルのものでしたが、これは男性ボーカル。しかも渋い低音でバラード調に歌われたもので、一発で虜になりました。ライナーノートで(竹宮さんのコメントだと思いますが)とにかく「Fly Me To The Moon」といえば男性ボーカルだと思っていたのでそういう指定をして、バラードでこれに凄く満足した……とかなんとか書かれていて、聞いて凄く納得しました。今でもこれに勝る「Fly Me……」を知りません。歌詞をそこそこ覚えたのもこれがあったればこそ。
のちにフランク・シナトラが歌ったものが有名だと聞きましたが、実際聞いても歌いまわしなどあまり好みでなく(さすがに声はよいが)好きになれなかったのは、こちらがデフォルトになってたせいです。
時代はCD時代に入り(このレコードが出た当時も既にCDはありましたがまだ初期でまともに売れてなかった)、その後アナログレコードからいくつかのイメージアルバムがCD化されましたが、このレコードは一向にCD化されませんでした。漫画も大人気のうちに終了したものの、元々大作とか大河ドラマというわけではないせいかそれ以後はすっかり忘れ去られ、今では古株の漫画ファンにしか通用しないものになったと思います。
ただ5年前の2005年に、なんとこの漫画が完全版として全6巻で復活したのには驚きました。欲しかったものの、知ったときは既に刊行開始後、しかも当時金欠で結局買えませんでした。ところがしばらくして知ったのですが、単行本についた応募券で当時のレコードから数曲入ったCD-ROMが当たるプレゼントをやってたのでした。知ったときはすでに締め切りすぎてたので、泣けました……。
正直探せばきっとLP残ってるんですが、保存状態はあまり期待できませんし(昔発掘したLPは沿っていて再生が難しかったことも)、なによりプレーヤーが今ありませんので買い直す必要があります。そんなわけで古いレコードはもう二十年以上聞いてません。
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