はやぶさ、擬人化祭り。
リエントリカプセルを放出し無事に地球の空に還ったはやぶさ。
カプセルも無事に発見、回収され、するべきことは全て果たしたはやぶさの仕事は終わりました。
まだカプセルの解析は残ってますが、これは地上のひとのお仕事ですからね。
後継機の予算などいろいろ問題は残ってますが、それもひとの仕事。
はやぶさ、おやすみ。
……いや機械でしかも燃え尽きたはやぶさにいうことではないですが、こういうのは日本人の心情、文化ですよね。対象がひとでなくともひとのように話しかけてしまう。対象が生き物ならまだしも、無機物にたいしてもこうするのは、多分世界中で日本くらいじゃなかろうか。無論妖怪などにいたっては、唐津の置物からお皿からまでもが、ひとの似姿をとる始末。そう、付喪神(つくもがみ)です。
そんな文化を持つ日本人ですから、オタクに走ればことばの擬人化に終わらず、まんまひとの姿を与えるのは必定。そう、ここ数年で一気にジャンル化した擬人化の波は当然はやぶさにも及んでいるのでした。
前にも書きましたが、公式でも擬人化は、別にひとの姿はとりませんがあります。
『はやぶさ君の冒険日誌』。
はやぶさのお仕事をアピールする目的でスタッフの方が書かれた手作り風絵本です。ここでははやぶさ君という少年的人格が与えられていますが、大体公式で見かける呼び方はこういうものでした。
それがオタクな手にかかれば、一気に少女化、ひとの似姿を与えられることになります。
人工衛星の擬人化となるとやはり走りといえるのが「さてらいこ.jp」のしきしまふげんさんの一連の同人誌、その結果の『現代萌衛星図鑑』でしょう。ここでははやぶさ以外にもいろんな工衛星や機械たちが少女の擬人化を遂げています。元デザインやイラストはしきしまさんで、漫画パートはへかとんさんが描かれてます。
『現代萌衛星図鑑』はその見た目とは裏腹にかなり真摯に書かれた本です。松浦晋也さんが監修もされてますし、各データは保証済。萌え系漫画は、まあ耐性ないひとにはなんですけど、そこを除けば擬人化されたイラストが端々にあるだけで、科学読み物としては十二分にすばらしい本でした。日本の宇宙開発の歴史などはとくに描かれてないので他で補足は必要ですが、お薦めです。
しきしまさんのはやぶさで、忘れてはならないのがミネルバたん。小惑星探査機はやぶさが積んでいた探査ローバ・ミネルバの擬人化ですが、サイズに併せたのか見た目は幼女という反則さ。『現代萌衛星図鑑』の漫画パートでははやぶさたんの回想の1カットしかありませんが、この見た目と言葉が、ミネルバの最後を知っていると泣ける……。
しかもしきしまさんとこの同人誌ではミネルバ単体での本もあります。余所でみたサンプルの、この右ページがまた泣ける。
ええもう、通販で注文済みですが(他の二冊含めて)、なにか?
あと、この本に入ってませんが(本は2007年のものらしい)、この5月、へかとんさんがpixivにミネルバたんのその後を描いた漫画を載せてました。題して「ミネルバからのエール」
探査ローバ・ミネルバは、イトカワには降りられなかったけれど、近い場所を漂いつついっしょに太陽系を回っていると予想されています。人類初の最小の人工惑星として。しかもはやぶさが帰還途中のころまだ信号を出し続けてたとか(但し微弱な上に地上の電波が強くて、ミネルバの信号はキャッチできないそうですが。携帯電話の電波と近いんで、その地域の携帯全部止めればなんとかなるかもとありました)。そんなイトカワのミネルバの様子が描かれた漫画。イトカワのまわりを回ってる→イトカワの上で走ってるとなってますが……なんという琴線に触れるネタ・オンパレードなんだ。
ちなみに、しきしまさんデザインのはやぶさたんは、アオシマから完成品フィギュアとしても発表されています。発売が帰還に間に合わなかったのが残念ですが、なかなかかわいいです。商品は台座が違う二品あって(台座だけの違いなんだから、両方つけてくれればいいのに)二つ買うとちょっとお値段張りますけど。
一方の台座はイトカワ(ただしラッコ状デザイン)、もう一方はグレーの球面上に「オカエリナサイ」の文字がささってます。これははやぶさたんに対するメッセージですが、同時にアニメ『トップをねらえ!』のラストで、遠き旅の果てに地球に帰って来た主役たちを迎えたメッセージがもとになってます。ネタバレになるけども、「イ」の文字が、時間たちすぎていてその時代では反対になってるんですよね。フィギュアではそこを考慮していて「差してるだけなので文字を反対向けるのもあり」なつくりになってるようです。
このはやぶさたんのフィギュアにはミネルバもついてますが、擬人化ではなくちっちゃな円筒ぽい形でイトカワ台座にぽちっとついてるらしいです。サイズ忠実にしないでいいから、ミネルバたんもフィギュア化してつけとけばいいのに。
ニコニコ動画にあげられた販促動画。
さて、それ以外ですが、はやぶさの帰還が話題になり始めたころ、はやぶさ迎え酒という便乗企画をあげた会社がありました。そのイメージイラストを書かれたのがオレンジゼリーさん。オレンジゼリーさんは、はやぶささんを四コマ漫画としても発表しています。四コマの左に解説もあり。webだとご本人のサイト「アイシクルオレンジ」で発表されてますが(ニコニコにUPされた動画版のリンクもあります)、pixivへのUPが速いそうなので、登録している方はそちらで見るのがいいかも。
しきしまさん、へかとんさんのとは違い、はやぶささんは少し幼げ。しかしミネルバさんはサイズとは反対にお姉さんキャラですね。漫画はまだミネルバさんがイトカワから外れたところなので、はやぶささんの旅はまだまだ続くようです。
他にもまだありますけど(最近出た同人誌とか)、まあこんなところでしょうか。簡単な紹介なのは、最後のは他と較べてもあざとい感じがして(笑)
まあさすがに「はやぶさ」を好きだとしても他国のひとには理解されがたいネタですが(よく訓練されたひとには理解されてるようです)、こういうのも「はやぶさ」を盛り上げた要因のひとつだし、たまには萌えもよいではないかと。
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