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フライシャーの『スーパーマン』。

 知ってる人は知っている。知らない人は結構多い、というかそもそもアニメなんてTVでやってるのを流し見するだけな人は絶対知らない作品。

 別にタイトルネームはマイナーではないのだけど、作品としてはあまりにマイナーだったのが、このフライシャー版カートゥーン・アニメ『スーパーマン』です。といっても今となっては普通に知られてますけどね、アニメファンにも(見たひとは少ないかも)。

 なにせコミック『スーパーマン』が生まれたのが1938年、このカートゥーン・アニメ『スーパーマン』は1941年から作られた『スーパーマン』初の映像作品なのです。なんと第二次世界大戦中(当初は開戦前ですが)ですよ。そりゃ古い古い。一応戦後昭和30年代に入ってから日本でもTV放映されたそうですが、『宇宙戦艦ヤマト』の前後から生まれたアニメブーム以前の話。しかも海外の短編作品ですから、アニメブーム第一次、第二次でもほぼ言及されなかったかと。つまりいわゆるアニメ・ファンからはほぼ無視される、古いお子さま向けアニメなわけです。一見ね。

 兄マックスと弟デイヴのフライシャー兄弟が作ったフライシャー・スタジオは、米は知らず日本では現在の知名度は低いですが、カートゥーン・アニメーションの歴史では外せないアニメーション・スタジオです。当時のウォルト・ディズニーの最強のライバルと言ってもいいくらい(無論他にもアニメ・スタジオはありました)。
 まあ私もさほど詳しいわけではありませんが(詳しくはWikipediaでも)、この『スーパーマン』以外でも『ベティ・ブープ』などのキャラクターは後世に残ってますし、なんといっても『ポパイ』は今でもネタになるくらいです。『ポパイ』は一応原作もあったそうですし、アニメも色々なスタジオのものがありますが最初のフライシャー・スタジオ版が、今にも残るスタンダードな『ポパイ』を作ったそうです。私もいくつか見たことありますが、残念ながらフライシャーのではなく後世の他のスタジオのものだけ。もっと古いころの短編『道化師ココ』他を初期の『ミッキーマウス』等とともに見たことありますが、短編ではディズニーにひけをとらぬものでした。長編はディズニーは『白雪姫』以後は圧倒的ですからね。

 この『スーパーマン』はそのフライシャー・スタジオの最後期の作品。シリアスな(お子さま向けだけど)話である『スーパーマン』にはたとえば『ポパイ』や『ミッキーマウス』のような派手なデフォルメはありません(ただ動物は通常のカートゥーンぽい)。ストーリーはシンプルに悪漢を倒すヒーロー話がベースですし、なんといっても人物造形が実にリアル(一部除く)。これは実写映像を元にアニメイトするロトスコープという手法が使われているからです。スーパーマン、クラーク・ケントのがっしりした身体がなめらかに、しかし力強く動き怪ロボットを倒すそのカッコよさといったら、これが60年以上前のアニメとはとても思えません。

 フライシャー版『スーパーマン』は大きく分けると二つに分けられます。現存するうち、正確にはフライシャー・スタジオ製なのは第1話から第9話。1942年に作られた第10話から第17話はフライシャー・スタジオが出資者だったパラマウントに買収されたあとのフェイマス・スタジオ製です。初期のOPタイトルには“A MAX.FLEISHER CARTOON”という文字が浮かび上がります(OPの最後には“Directed by DAVE FLEISHER”も)。もっともこのころ既に不仲になっていたそうで、兄弟のうちマックスは1941年に離脱、デイヴも1942年に解雇されてフライシャーの黄金時代は終わりを告げます。『スーパーマン』はいわば最後に生まれた傑作なのです。

 私は随分昔、雑誌で初めてその映像を写真で見ました。おそらく1970年代後半から80年代に売られていた雑誌『日本版スターログ』誌の記事かと思いますが、覚えてません。写真のみですがその立体的なスーパーマンは、当時知っていた米製アニメとは一線を画した魅力がありました。つまりロトスコープの効果である動きはまったく知らず、その絵に惹かれたのです。日本では既に影が二段、三段とついているし、タツノコプロの系統もあってペラペラな影もない米アニメよりもずっと立体的でしたが、このスーパーマンはある意味それ以上でした。たとえば、影が薄いんです。カラー作品なのですが、日本でよくあるようないきなり濃い影がついてるわけでもなく、カクカクとした線があるわけでもなく、エアブラシで描いたようなぼわっとしたイメージ。建物や機械の影も薄墨で書いたかのような薄さや濃い影が入り乱れ、コンテで描いたかのような美術的な色彩で浮かび上がる摩天楼。それに当時のSF雑誌っぽい丸みとシャープな針と真四角なラインが入り乱れる都会やメカ。子供のころTVで見てた海外アニメといえば『トムとジェリー』か『ミクロ決死隊』でしたが、こちらの絵たるやヨーロッパあたりのアニメーション、たとえば『やぶにらみの暴君』のようでした。なのに描かれているのはスーパーマンなんだから。

 その後なにかの際にビデオテープを発見、それでようやく数編見ました。玉石混合で、思ったほどでないものもありましたが、存在感はやはりあって「メカモンスター」の回などはまさに傑作でした(これはまだ当時は言われてなかったけど、後年宮崎アニメでオマージュ出まくってて有名に)。あとで調べると今は無き大陸書房が書店で売るビデオのひとつだったとか。確か二巻あって買ったはずなんですがどこかの箱の中。その後大陸書房が倒産したためまた見かけなくなりましたが、なにせ古い作品、とうに著作権切れてるので、ソフト・オン・デマンドや100円均一のダイソーの200円ビデオでも出てたらしいです。

 それが先日中古ビデオ屋でDVDを発見!
 パッケージを見るとカラーリマスター版(字幕付)というではありませんか!
 しかもvol.1とvol.2で17話全部収録されてる?!
 これは買うしかありますまい。

 ……もっとも帰ってネットで調べてたら、普通にDVD売ってたようですね。セル版は一枚で17編全部入り、私が買ったのはレンタル落ちのDVDなのですがレンタル版は二枚に別れてると。二枚でも値段は安かったので別にいいのですけどね(一枚743円)。新品だと高いけど、中古はかなり安く出回ってるようです。
 私が購入したDVDの発売・販売元はDigiSonic デジソニックというところ。検索したところ、現在はソニマという名前に変更されてます。DVDソフトの製造意外にも、ソニックマーケットというオンラインDVDレンタルをやってるそうで、その名前にしたようです。それはいいんだけど、去年の年末からSo-netと共同で「So-net DVDレンタル」を始めたって──問題になってたアレか? まあ私はこういうのする気はないのですが大丈夫なんかな。

 話戻して。収録タイトルはこちら。
 DVD vol.1
 01.Superman (The Mad Scientist) スーパーマン (1941)
 02.The Mechanical Monsters 謎のメカ怪人 (1941)
 03.Billion Dollar Limited 金塊輸送車を守れ! (1942)
 04.The Arctic Giant 冷凍恐竜大暴れ (1942)
 05.The Bulleteers 恐怖の弾丸車 (1942)
 06.The Magnetic Telescope 水星誘導装置 (1942)
 07.Electric Earthquake マンハッタン島を乗っ取る男 (1942)
 08.Volcano 溶岩から町を救え! (1942)
 09.Terror on the Midway サーカスの恐怖 (1942)

 DVD vol.2
 10.Japoteurs 巨大爆撃機を追え! (1942)
   ※造語 (ジャパニーズ+サボタージュ)だそうな。
 11.Showdown ニセスーパーマン現わる (1942)
 12.Eleventh Hour スーパーマン・イン・ヨコハマ (1942)
 13.Destruction Inc. テロリストは誰だ! (1942)
 14.The Mummy Strikes 古代ミイラの呪い (1943)
 15.Jungle Drums ジャングルの秘密 (1943)
 16.The Underground World 地底大探検 (1943)
 17.Secret Agent 暗黒組織をつぶせ! (1943)

 なおリストの英文はこちらのブログからお借りしました。日本語タイトルはDVDからですが、元のブログ記事のと違うのであちらのは昔出てたビデオの日本語タイトルでしょうか。
 他に『漫棚通信ブログ版』さんの2007年の記事「フライシャーのスーパーマン」には旧スターログ誌(一度休刊になりましたが、数年前に別会社から復活してました。その後また休刊)に絡むお話、日本語字幕はありませんがアーカイヴにある動画へのリンクなどもありますのでどうぞ。

 これだけだとなんですから、傑作“02.The Mechanical Monsters 謎のメカ怪人”を探して貼ってみました。Jimaxというサイトでパブリックドメインの動画に合わせ有志が字幕を作り、動画にスーパーインポーズできるというサイトだそうです。字幕の付けられる動画はYoutubeかJimaxにアップされたものだけ。ちなみにスーパーマンはこれだけでした。
 見ると色はしっかりしてるのでカラーリマスター版の動画ですかね。なんでもこのリマスターは米のあるファンが大枚はたいてリマスターを依頼したとか。ホントだとしたら尊敬しますがさて。


 3/28から4/6までサーバメンテナンスだそうなので、見られなかったら悪しからず。


 次は“01.Superman (The Mad Scientist) スーパーマン”の、おそらくリマスター前の映像? ピンボケ気味なのはテレシネとかの問題として色合いが違う感じ。ただうちのDVDはこれと先のやつとの中間くらいな気もする。
 またオープニングでスーパーマンの素性を簡単に説明してますが、なんとこの時代のスーパーマンはケント夫妻に育てられたのではなく、親切なドライバーが拾って届けた孤児院育ち! あと第二話OPでは透視できることをさらっと言ってますが(最初の紹介時に眼が光る)、これは二話だけ。理由は本編で透視するシーンがあるためでしょう。本編では透視に何の説明もありませんので先に言っておくと。ちなみに眼がグルっとして人によっては不気味かもしれませんが、この黒目が消えるところとかはよく考えてると思いますし、あそこの顔のカットこそが私が最初に惹かれた写真です。顎のラインとか肌の色合いとかがすばらしい!


 字幕や吹替えはありませんし、あまりいい画質ではありませんが、動画自体はこうしてネットのあちこちに転がってます。

 なお2009年春、ワーナーブラザーズからもこのフライシャー版『スーパーマン』のDVDが出るそうです。パブリックドメインなのでどこが出してもおかしくないんですけど、単に今現在はワーナーがこのフライシャー版の版権持ってるそうで(ソースはこちらの記事)。クオリティ高ければ日本でも出してくれると嬉しいんですが。
 あと全17話が二枚にというのは同じでもオマケで二編あるのが気になる。
 “Bonus Features:
 The Man, The Myth, Superman Featurette
 First Flight: The Fleischer Superman Series Featurette”

 レビューの文に“two documentary featurettes”とあるので、それぞれ「スーパーマン」と「フライシャー・スタジオ」のドキュメンタリー映像なのかな? 二つ目のは以前出ていたクリストファー・リーヴの『スーパーマン』四部作のDVD BOXにこのフライシャー版がオマケとして入ってた時にもあったようです。

 初めて映像で飛んだフライシャー版のドキュメンタリーに“First Flight”と付けるとは粋なものですが、実は初期のスーパーマンは空を自由に飛べるわけではありませんでした。この記事の本のころの話ですね(ちなみにこの掲載第1号の雑誌、約3千万円で落札されたとか)。有名な話ですが、冒頭にも使われた決まり文句にもあるように「高いビルもひとっとび」なのは飛び越えられるという意味で空を飛べるという意味ではありません(single boundって言ってます)。もっともどう見ても自由に飛んでる話があったり、そのあともまたただの大ジャンプになってたりといまいち一貫してませんが。
 このフライシャー版では他にも上記の孤児院育ちとか、日本人の知るスーパーマンとは違う設定があって面白いです。今現在の米のスーパーマンも昔とは随分違ってますけどね。フェイマス・スタジオ版では時期的に日本が悪役になってて、日本人スパイが米軍の秘密兵器を盗もうとする話や、横浜でスーパーマンが破壊工作をする!話などもあったりして。

 フライシャー版『スーパーマン』についてはまた書くかも。

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コメント

 なるほど。このメカモンスターが、飛行ロボット兵の元ネタだったんですね。メカモンスターが不器用に歩くさまなど、確かに凄い……。『スカイキャプテン』は物真似だとか、人に言わないでおいて良かった(笑)。
 それにしても、ヒロインの足手まといさときたら。『黄金バット』の子供たちのように、こんなステレオタイプな“おんな子ども”の扱いは、もはや許されないですねぇ(笑)。

投稿: 翡翠 | 2009/03/28 21:04

 今見てもメカニカルモンスター、いいですよね。歩く様や電波受信したときの様子などなど。それに襲撃するときのコマ割りとか構図も非常に凝っていて、『ミッキーマウス』等と同じ時代とは思えません。『王と鳥(旧名「やぶにらみの暴君)』の巨大ロボと並ぶ古典アニメの名ロボットです。

>ヒロイン

 ロイス・レーンの異常なほどの行動力には驚きました。なにせ第一話でマッドサイエンティストの仕業と目算を付けてるのに、単独飛行機を操縦し取材に向かうんですから。まさに飛んで火に入る夏の虫。いや女性活動家の先駆けみたいな。
 もっともその無謀さで毎回危機に陥りスーパーマンに助けてもらうわけで、この展開の速さは短編だししょうがないですね。フェイマス版になるとロイスは事件にあまり絡まなかったり、まったく出てこない話もありました。

投稿: やずみ | 2009/03/28 23:00

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