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『星虫』再臨。

 かつて新潮社他スポンサードで始まった日本ファンタジーノベル大賞の1989年の第一回において最終選考に残り、受賞はしなかったものの翌年新潮社文庫より発刊した本がありました。その名を『星虫』という一風変わったタイトルの青春SFです。著者は岩本隆雄。受賞は逃すもデビューにいたっただけのことはあって、なんというか実に爽やかな読後でした。シンプルな構造ながらオチも効いてて、なにより文章に力がありました。そのためか一部に熱狂的なファンが(私ですが)つきましたが、その後同じ世界観の別のお話、ある意味『星虫』以上に切迫していて泣けてオチのいい話『イーシャの舟』が出てその才能を見せたものの、そこでぷっつりと消息が途絶え、一発、いや二発屋に終わったかと思われました。


* ちなみに日本ファンタジーノベル大賞、その第一回の大賞受賞作は酒見賢一・著『後宮小説』。TVスペシャルでアニメ化もされました。第二回の優秀賞(大賞無し)は鈴木光司のデビュー作『楽園』。どちらも非常に文章に力があって、その後の活躍も知られています。ただこの賞は宣伝も少なくて知名度も低く、その性質上一発屋も多いです。古くは上記二人に続いて1991年の候補作『六番目の小夜子』でデビューした恩田陸、近年では2001年に『しゃばけ』で優秀賞をとった畠中恵が一番の売れっ子かな(TVドラマ化もしました)。

 閑話休題。

 ですが、十年ほどした2000年、なんと今度は朝日ソノラマのソノラマ文庫から加筆修正されて復活したのです。(私は新潮社版の画も好きでしたが)今度は『エリアル』の挿絵で一世を風靡した鈴木雅久にイラストを変えて、そのおかげかより認知度は高まったかと思います。そらもう、かつてのファン(私か)は狂喜乱舞。しかもこの時は『イーシャの舟』のあとに、さらに新作『鵺姫真話』、続く『鵺姫異聞』が発刊され(挿絵は弘司)、これまたよくできた話で(『星虫』よりも『イーシャ』と同じく「泣ける話」寄り)岩本隆雄が二発屋でないことを知らしめました。ファンはその復活、新作が読めることに安堵しました。

 ところが、その後またもや長き潜伏に入りました。一度あったことなので、寡作かまたは一身上の都合であろうと思いつつ待っていましたが、なんとその間に朝日ソノラマが消滅。その後も潜伏は続きそろそろ新作を待つのも忘れた去年ようやく新作で再復活、そして今回ついにソノラマ文庫の合本復刻の流れに乗ってASAHI NOVELSにて『星虫』が復刻。しかも『イーシャの舟』との合本、さらにオマケの書き下ろし小話付きで。

 タイトルは『星虫年代記(クロニクルズ)1』

 1ということは当然2もあるわけで、『鵺姫真話』と『鵺姫異聞』の合本が待っています。あちらはこれよりも直につながった続き物なので当然ですが、まさか『星虫』と『イーシャの舟』が合本、オマケ付きとは……。今回も一部修正付きだそうですが、名作は時代を超えるんだなぁと感慨深いです。まあ合本できる数があったおかげかもしれないけど(『猫の尻尾も借りてきて』の復刊は無理かなー)。

 個人的には『星虫』は出発点として(名作ですがよりジュヴナイル寄りで、読後の重みは後続のお話のほうがあるかも)、『イーシャの舟』は泣ける話として、『鵺姫』はさらに過酷な運命の泣ける話としてどれもオススメです。あ、去年の新作『夏休みは、銀河!』もですが。

 『仮面ライダー 1971─1973』もあったし、2月はなにか、名作揃えて私のサイフを空っぽにせよという悪魔の囁きでもあったのかね。今月も既にいつになったら出るのかと思った米澤穂信の「小鳩くんと小山内さんシリーズ」新刊『秋期限定栗きんとん事件 上』も出たし、ピアズ・アンソニイのザンス新刊(19巻)『女悪魔の任務』もわりと早くに出たしなぁ。あ、どれもオススメなので、ジャンルが合いそうな方はどうぞ。

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