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『HOT FUZZ』行ってきた。

 2008年12月15日(月)、映画『HOT FUZZ』を観に行ってきました。あたご劇場、月曜が千円均一日なので。

 簡単に言うと警察コメディなんだけど、あのイギリス風味の少し地味でグロくてブラックな味はやはりあって──そのせいでしょうかR15指定──なんとも言えない映画。あ、一応ギリアムほどじゃないので、ハッピーエンドね。R15も、おそらくちょっとだけ出るグロい殺害シーンやら死体のせいでしょう。話としては全く問題なし(ホントか?)。

 おもしろかった。かなーりおもしろかった。DVD(はもう出てるらしい)いやBDが出たら絶対買う。


 だけではなんなので少し感想を。
 『HOT FUZZ』 2007年 英
 日本名『ホット・ファズ─俺たちスーパーポリスメン!─』

 FUZZは俗語で警官のことらしいです(米ならコップにあたる?)。悪党が、サツだのデカだの言うような場面も出てきます。だから直球でタイトルを意訳するなら「熱血刑事(デカ)」くらいか。映画では真面目なエンジェル巡査が「そんな言葉は警察にはない。ポリス・オフィサーだ」と同僚に指摘したりするが、街のひとからファズ呼ばわりされたり。

 ストーリー。
 警察学校を首席卒業、いくつもの勲章を受け、検挙率No.1を誇るニコラス・エンジェル巡査(主演:サイモン・ペッグ)は突然上司から巡査部長への昇進と同時に地方への異動を命じられる。納得できないエンジェルだが、さらに上司の警部からは「お前がいると俺たちができないやつだと思われる」と言われ、仲間が黙っちゃいないと振り返ると部署の皆が既に送迎パーティー気分。
 別れた彼女にも駄目だしされて、茫然自失のまま長い列車の旅のはてに、英国風ド田舎へと到着。美観などで英国一にも選ばれた平和な村サンドフォード。約束された美しいコテージは都合で入れず、おどろおどろしい古ぼけたホテルに仮住まいすることに。することがないエンジェルはパブへ行くが、つい犯罪に目が行って、さっそく未成年やら飲酒運転しかけた酔っぱらいを警察署へ連れて行ってぶちこむ始末。
 翌朝、正式に署にやってくると、なんと昨夜の酔っぱらいは署長の一人息子で同僚のダニー・バターマン巡査(ニック・フロスト)。エンジェルは彼とコンビを組むことに。英国一治安がいいと誇る署長、イヤミだったり呑気な同僚とは馴染めそうにも無い。街を走れば住民が既に新しい警官だとしっていて、新聞記者が来たり町の名士に呼ばれたり学校でお固い講演をすることに。
 一方ダニーはハリウッドの警官アクション映画が大好きで、エリート警官であるエンジェルにあれやこれやと映画のような活躍をしたか聞いてくる。出逢いは最悪だが悪い人間ではなく、エンジェルも真摯に対応していく。
 「いい警官になるにはどうするの?」
 「よく観察することだ」
 「たとえばあの男、この暑いのにどうしてダウンコートを着ている?」
 「あれは~(名前)だよ。」
 「あの男は帽子で顔を隠してる。何故だ?」
 「顔がブサイクだから」
 そうこうするうち、ある日知り合った弁護士の演劇に向うはめになる。これがまた酷い演技で辟易するのだが、なんと次の日、スポーツカーの事故でその弁護士と不倫相手の首が飛ぶという凄惨な事故が起きる。その事故に不審な点を見つけるエンジェルだが、誰も信じない。その後も次々と事故のようだがどう見てもおかしな怪死事件が起き始める。一人笑われながらも必死に捜査を続けるエンジェル。厭味も言わずつきあうダニー。どうして警官になったかという会話で、エンジェルはおじの話を、ダニーは母を亡くし一人残った父親の側にいたかったと話す。いつしか二人は立派な相棒となっていた。
 ある日思いがけないことから手がかりを掴み、さらについに決定的な殺人現場を見てしまうが、もう一息で犯人を逃してしまう。
 疑惑の男を犯人と目星をつけて署員を引き連れ逮捕に向うが、犯人の証拠はなく大失敗。皆に散々揶揄され、意気消沈のエンジェルだが街でヒントを思いつく。その晩、エンジェルを謎の男が襲う。なんとか男をノックダウンさせたエンジェルはそこに現れたダニーに見張りと署に連絡をとるよう言い残し、ある場所へと向かうのだが、そこで想像を絶する真実を知ることに……。
 はたしてエンジェルの運命は?
 そして村の殺人事件の謎とは? 犯人とその目的は?


 大爆笑というのはそれほど無いです。笑うんだけど、シニカルというか短い笑いが連続するという感じ。パロディが多いんだと思うんだけど、個人的にはっきりわかるのは少なく、でもシナリオで十分笑えるタイプ。米のパロディ映画とは全然違いますね。パロディがはっきりわかるのは、後半、ブッチギレてエンジェルらが猛攻撃を始めたあと。分かりやすいやつはハリウッドとかジョン・ウー的なアクションで、ネタは、少なくとも一つは映画前半に出てきます(ダニーの好きな映画たち)。これは確かにパロディなんだけど、一応シナリオとしてダニーの心情にかかるようにできていてシリアスなシーンでした。なにせコメディ映画なので、少しわざとらしくも見えますが。

 そうパロディ多いんだけど、たとえばジム・エイブラハムズのパロディ映画のような基本が漫画のような、いや舞台の上のような世界ではない。序盤から左遷されるまでがテンポよくてそっち系に見えますが、失意のうちに列車の旅を終えて夜の田舎町に着くあたりからシリアス度が増していきます。この村についた最初の夜のシーン、これがまさにこの映画とハリウッド映画の差のような気がしました。ハリウッドだと多分左遷でついたらそのまま昼のシーンになりそう。
 そして村で仕事を始めると、厭味言われたり熱心に近づく村人らと真面目につきあったりとエンジェルが普通に真面目な警官そのままの行動をしていき、その合間に少しくすっと笑うシチュエーションがはいってるという、全く普通の警官ドラマが展開されます。笑いのネタも、あまりに真面目なエンジェルの言動と時折始まるアクションのギャップが基本。おちゃらける相手に至極真面目に対応するそこに笑いを求めるのだから、ボケてる相手に真剣にバカやってるハリウッドのポリス・パロディ映画とはそりゃ違います。本人は全くボケてないんです。かといって島本和彦の漫画のように一人空回りするほど熱血しててそこが笑えるわけでもないです。普通の警官として真面目にやってるだけで、空回りしてるのは周りが呑気すぎるから。だからこの映画の基本は、真面目な警官ものなのです。
 そうして無理解な周囲と連続(エンジェルしか信じてないけど)殺人事件とその捜査という前半のクライマックスが、事件の謎の解決ならぬ暴露シーン。そこで味わう不条理と恐怖はあきらかにコメディじゃないです。いえブラックコメディとしてロマン・ポランスキーの『吸血鬼』に通じるものがありますが。あちら系だったら、あきらかにあそこでゲームオーバー、エンジェルの最後で締めくくられてたでしょう。予想はされていたものの見ていて心が痛くなるシーンでしたし、その後のシーンのエンジェルやダニーの辛さもシリアスでいいシナリオでした。ただ、ここらへんも入るかは知りませんが、事件が起こり始めるあたりを退屈だと評されたひとがいたのもわからなくもないところ。予告や宣伝からすると、あきらかに色が違いすぎるのです。この前半のシリアス度は。

 そこで終わるとふつーの警官もの。しかし映画の時間はまだ残ってます。応援を呼ぶと言い残し失意の中去りかけたエンジェルですが、道中立ち寄ったサービスエリアの店内でふと見かけたグラサンを見ているうち、何かが彼の中に起こります。それはダニーが大好きでエンジェルにも見せたハリウッド映画──つまりダニーとの絆です。誰かにまかせるわけにはいかない──これは俺がやるべきことだ。そうしてとって返したエンジェルは以前村で押収した武器を武器庫から大量に持ち出して装着、白馬に乗って町並みの中心へと乗り込むのです。そこからが宣伝にもある大アクションの始まり。のんきな前半と陰々鬱々な事件の裏側を吹き飛ばす解決編です。

 ハリウッド映画仕込みのガンアクションで撃ちまくり、映画風の粋な台詞を込めて敵に立ち向かう。前半のお堅いエンジェルはどこへやら、一端のアクションスターです。いつしか相棒ダニーも戻り、警官仲間も同調して、悪党退治。なのですが、ここもハリウッドと比べるとどこか小さい。ハリウッドならそりゃ大爆発が二回ほど、カーアクションで車が飛ぶのは当然だけど、ひっくりかえるのは一つや二つじゃなかろうなーというシーンがちらほら。途中にシリアスも混じりながらもどこか小降りなのは銃撃戦なのに背景に殆ど派手なものがないのもあるかも。ガラスがガシャンガシャン壊れたり火花散ったりはとくになし。
 ここでの一番の見物はどちらかといえば対峙する相手でしょうか。予告などでネタバレしてますけど、殆ど老人。どこにでもいる一般人と思えるような相手がいきなり銃を持ち出し、壮絶な銃撃戦に入るのは大笑いしました(映画館なので声は出しませんでしたが)。このギャップは前半以上に楽しいです。

 あと、ラスト前の対決で、村の町並みを再現したミニチュアの中で敵と戦うシーンがあるのですが、日本特撮のパロディのつもりなら撮り方までパロディにしてないのはもったいない。これがハリウッドなら絶対アオリのカメラワークとかスローモーションも入れてたはず。町が壊れるアクションしてるのに……。それとも特撮は関係ないのかなー。


 これは大画面で見られてよかった。たとえ小さな映画館でちょっとピンボケぽいスクリーンでも。なんというかそもそも大ヒットする映画とは少し違うんですが、これが小さな画面だとより小さく感じたかもしれません。
 そういう点からできれば映画館で見てほしいけど、DVDでもいいからやはり見てほしい。
 ただ前半は人を選ぶ気もするので、アクション映画とかパロディ映画と思わず、まず警官ものドラマという視点で見るべき。私はあまり前知識無しで見たので、あれれ、なんか大笑いパロディ映画とは違うぞ?と思いつつも冒頭で気に入ってそういう視点から見てました。最初の左遷シーンから、短くて長い旅客シーン、そのテンポよい切り換えやダークな夜と灯のコントラストが見栄えする画面が気に入ったなら多分大丈夫。アメリカだとこういう失意の警官の背景は都会の闇なんだけど、英国田舎の闇ってのはそうないと思います。滅多に見ない現代の英国警官ドラマが映画館で見られるのはいいことです。


 そんなわけでまたマイナーながらお薦めで、あまり賛同されないような映画を見つけました。
 ちなみに他の映画といえば『去年マリエンバートで』とか『顔のない眼』とか『橋』とか『まぼろしの市街戦』とか。まあ知ってる人は知ってる名作ばかりですが、ふつーの人はあまり知らないです。検索してみると知らないうちにDVD出てたりして廃盤になってたりしてプレミア価格で出てたりして、ああもうコンチクショー! 『橋』はまだあるし『顔のない眼』はしっかり10年前にゲットしてるけど、他のも欲しかった……。BDにならんかなぁ。

 あ、もひとつ、この四つとは全く路線が違うけど個人的に好きなのが『処刑ライダー』。B級(人によってはC級)アクションもので復讐ものなんですが、この映画の神髄は映画史上最強のゴーストカーと兄弟愛です(彼女?なにそれ)。弟が謎の男を兄と気付いて「ジェイミー!」と叫ぶシーンは忘れられません。これも廃盤だなぁ、DVD。

 どれもちと暗いしわかりにくかったりもするけど、映像が綺麗な映画ばかりなのでお暇なら見てよね~。
 ……あ、邦画がないなー。まあ邦画で好きなのはわりとメジャーばかりか……『1999年の夏休み』ってマイナーでしょうか。

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