だから…ドリルは取れと…言ったんだ……。
タイトルは、アニメ好きの中でもロボット物好きの、そのまた極一部で有名な台詞です。
番組名は『勇者特急マイトガイン』。おもちゃ会社「タカラ(当時)」がメインスポンサーだった子ども向け変形合体ロボットアクションシリーズの一作です。シリーズですが各番組に関連はなく毎年新しい設定で始まる物語なのですが、当時まだ特にロボットファンの「お約束」でもなかったドリルが一番組にロボ一台くらいはついてたのが、後年印象的でした。それというのも、この番組の最終回、敵のボス「エグゼブ」(実際は中ボス)が止めを刺されたのがこのドリル、しかも中盤にそのロボ「轟龍」の製作時に「趣味じゃないからドリルは取れ」と中ボス自らが言っていた(もともと敵方ロボ)という前振りがあっただけに、その伏線を収拾したこの台詞がロボットファンの中で(当時は失笑が多かった気もするけど)後年に残るまでの歴史的台詞になったわけです。ギャグですけど。
『勇者特急マイトガイン』はメインに大映アクションのパロディを持ち込み、一種異様ながら無国籍アクションらしい敵方、そして終盤にはメタフィクションも入れてそれまでのシリーズのお約束を一気にひっくり返すというファンによっては賛否両論を巻き起こした作品ですが、単純にメカやロボ好きにはこの台詞で一つの場所を残した作品といってもいいかと思います。それまで轟天号やジェットモグラやマグマライザーの頃から潜在的にはあった「カッコいいメカにドリル」というコアなファンの想いを、正直ギャグとはいえ代名詞の一つになるほどの台詞として昇華した作品として。まあぶっちゃけた話、スポンサー側の無理な要求に対し製作側の鬱屈した想いを出したという、ファンにとってはあまり喜ばしくはない演出と言えなくもないのですけど(だから結局ギャグとしてオブラートに包んだような使い方しかされませんわな)。
個人的には地中を掘るドリルをものを砕くドリルとして効果的にバトルで使い、その有用性と戦いのカッコ良さとして決定づけたのはシリーズ最終作(TVでの)『勇者王ガオガイガー』だと思います。それまで基本はあくまで乗り物として地中を進むためにあり、副次的に戦闘に使われるとしても手の先につけてちょっと殴るだけみたいなものだったドリルが、常時装備として膝につくために膝蹴りという格闘の流れの一つに組み込んで使われました。絶対的な破壊力を持つメイン武器というわけではありませんがそもそも武装は少ないガオガイガー、必然的に印象も強く、膝蹴り前や膝が当たったあと止まっているドリルが急激に回転を始める等の演出はそれまでのものとは明らかに違う「タメ」演出でドリルの存在感を見せました。番組開始前は実在する乗り物をモチーフとしたガオガイガー各パーツの中で唯一(メインコアのガイガーも一応ライオンがモデル)全くモデルのない両足パーツ「ドリル戦車」はファンの中からも浮いてるためになんだかなぁと思われていたふしもありますが、実際にアニメが始まってからはそういう違和感については特に文句を言われることもなくなったかと思います。
まあそれはそれとて。
そういった「男ならドリル」ってファン心理は今や一ジャンルとして、『天元突破グレンラガン』にてギャグも真剣さもメインにした上で昇華されてしまうわけですが、そうした上で避けられないこの勇者シリーズにて貢献した(製作側にはうとましい)のは先にも書いたようにおもちゃ会社なわけですけど、実際は一人の男によって大きくその命運は左右されていたらしいです。それがおもちゃ企画製作販売会社「マーミット」の現社長「赤松和光」氏だった、ということを最近マイコミジャーナルにのったインタビュー記事で知りました。つまりはこれが今回の記事のネタです(ああ、前振り長かった)。
ええ事実上の戦犯はこの人です(笑)。なんといっても記事の題名が「ガオガイガーにはドリルを!!」、5ページ目タイトルは「ガオガイガーにドリルをつけた男」ですよ。しかも読むとそれまでに頭や胸や爪先につけてたので「もうドリル着けるところが無い」と言われて「いやまだ膝がある。ガオガイガーの膝につけろ、膝蹴りでドリルだ」って膝蹴りの元もこいつか! もはやGJ!としか言いようがありません。ガオガイガーはのちのOVAシリーズで出た原型である最終形態(という設定)のデザインでもドリル残しましたからね。それくらいファンにも認知されていたわけです。ただまあそのころはまだいいとして、それ以前の製作側にとっては悪夢のような人物だったかもしれませんが……。
マイコミジャーナルのインタビューはなかなか興味深いものが時々出ますが、先日検索して出てきたものにこんなのもあります。「『マッハGoGoGo』放送開始40周年記念企画-主人公・三船剛を演じた声優・森功至氏」。去年のものですが、タツノコプロで人気声優となった氏らしい思い出話は聞いていてもなるほどと思いますね。
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