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夏のアニメ上映会その三。

 さて二日目、19日の日曜日は午前と午後の2プログラム。まずは午前のBプログラムですが、こちらは一般的にはマイナーだけどファンには注目の二作品、新海誠監督の『雲のむこう、約束の場所』と今川康弘監督の『鉄人28号 白昼の残月』です。前者はちょっと前のものだけど、地元では当然上映しなかったので私も見てません。いえちょい前にNHK-BS2でもやってて録画もしたんだけど、なんか見る気がしなくてそのままに。いやあ見てなくてよかった。

 というわけで、新海誠・作『雲のむこう、約束の場所』です。監督作品三作目で、2004年から上映されてるそうです。小説にも漫画にもなりましたが、一切見てません。漫画は雑誌で見かけてもちらっとページ見ただけでスルーしてました。というか、今の今まで新海作品は『秒速5センチメートル』の予告編以外一切観賞してないのですが。数枚の画とタイトルとコピーからして漂う、あの独特な色合いと陰影、どこか切なく取り返しの付かない一方通行的な青春の匂いは好みなのですが、それで返って見なかったのかも。どっかひきずられそうで。
 今回もパスするかとも思ったのですが、次に鉄人が控えているのと、ちょうど中学生の甥を連れて行くことにしたのでこの際スクリーンで見られる最後かもしれない可能性をつぶすのももったいないと思いなおして観ることにしました。

 粗筋は──まあ観る前に知ってた分では、主人公とその友人二人は一緒に飛行機を造っていて、それで国境の向こうの北海道にそびえる天まで届く塔へ飛んで行くつもりである(現代が舞台だが、第二次大戦後の歴史が少し違う世界)。彼には少し気になる同級生の女の子がいて(友人もどこか気にしていて微妙な感じ)、彼女も一緒に連れていくという約束をする。しかしなにかが起き彼女は謎の病気に冒され、三人は結局バラバラになってしまう。そうして数年後、彼らは……。とこれくらい。おおむね間違いではなかったけれど、世界のおわりまで絡むとはおもわなんだ。

 いや、噂に違わずすばらしい作品でした。小さいところはおいといて、また声優がお決まりのひとはお決まりで、ぼそぼそいうひとはあいかわらずぼそぼそで──なんか冒頭から聞こえにくく台詞聞き間違いしていそうでしたが、これはホールの音響が悪いのかフィルムの音が悪いのか、それともやっぱりもとから声質が合わないのか。それはともかく、またありそうでありえない景色がすばらしい。青森のことは知らないのですが、駅名や町名なども実際のものと同じで、知っていれば郷愁を誘うこともあるんだろうか。途中までは青春の光と挫折というアレがアレする青春もので途中から彼女と世界に関わる謎が少しずつ出てきて、周りの人間みんなが伏線で、クライマックスへ向けて収束していく。ストーリーの展開自体に関わる伏線はそんなになくて、むしろ映像が伏線になっているけどわりと素直に回収されるので特に気にならない。裏で大人が交わすダイアローグは結局ほんの少し世界を見せる背景にすぎず、あくまで主役ら三人の関係、想いが主軸に話は進んでいき、そして感動的なクライマックスに……音楽のもりあげもすばらしく、無論映像(動画も含めて)の魅力が群を抜いていると思う。
 ただ、正直にアニメとしての見せ方を見ると、大人の世界は演出、会話、舞台設定に至るまでどこかで見たようなものばかりでもある。大人二人の会話とかはある程度押井守の映画のようだし(あっちのほうがもっとハードですけどね)、研究所方面は『エヴァ』を筆頭にするガイナックスの影響が濃い。飛行機で飛んでいるときは(特に中を映した画は)『ナウシカ』含めて宮崎アニメの影響を強く感じる。風防のばたつき、風と液体の流れ他、実際の物理的な現象をアニメートするなら同じなのかもしれないが、宮崎飛行機のアニメならではの嘘のイメージもどこか入っている気がする(飛びそうにない飛行機デザインって意味も含めて。デザインは無論違うけど)。もちろんこれは浅い見方かもしれないし、単に私が知らないだけって気もする……。なにせ3年も前の作品で、こんなことはいくらでも語られているだろうから、いまさらかなー。
 結局見終わって一番新海作品の味と思ったのは、やはり背景、舞台、色合い、陰影、そういった絵画的な側面につきるのではないかということ。広角で実際の、でもありえない風景を撮らせると、あきらかに宮崎アニメもガイナックスもない独特の空気感を持った実写映像で変わったカメラマンが撮ったような空間が広がる。コロンブスの卵のようだが、これはきっと他の誰かはマネして誰もが認めるようなものじゃなかろうか。今は美術もさすがに他の人がやっているようだが、『秒速5センチメートル』のHD予告編のすばらしさは、その感じを間違いないと思わせるに十分な出来だった。さあて、こうなると他の作品は……やっぱりスクリーンで見られるまでおあずけにしとくかいな。

 ……ああ、これだけパンフレット売ってなかったなー。残念。
 次回は『鉄人28号』を。

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