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残酷童話風味。『柩担ぎのクロ。』2巻発売中。

 第1巻で(個人的には)衝撃的な出会いをした、
 『柩担ぎのクロ。懐中旅話~カイチュウタビノワ~』
 の第2巻が出ました

 ホントは別の本を買いに行ったのだけど──ああ、おサイフにまだお金が残っていてよかった(無論これだけじゃなくて他の本も買いましたが)。このブログでは第1巻の話は書いてないので、改めて簡単に紹介を。

 著者は「きゆづきさとこ」さん。他に『GA 芸術科アートデザインクラス』などの単行本がある、漫画家兼イラストレイターさんです。私は単行本しかまともに読んでないので、他で何を描いているかはわかりませんが、ライトノベルのイラストなども担当しているようです。他にはゲームボーイアドバンス用ゲーム『ユグドラ・ユニオン』のイラストとキャラクターデザインを担当していて、今のところ代表作といえるのはこのゲームとこの本ではないかと思います。

 さて『柩担ぎのクロ。』は一見して童話的な世界観です。絵柄もそうですし、街並みなども中世っぽさを色濃く残していてヨーロッパ的な世界がモデルなのは間違いありません。ただし民の暮らしぶりは19世紀風ながらも、バイクも飛行機も一応ある世界です。そんな世界を旅する一風変わった旅人「クロ」が主人公です。年齢は不明ですがまだローティーンとも思われる(絵柄のせいでしょうけど、14歳ほどじゃなかろうか)小柄な女の子で、つばの広い黒く大きな帽子と黒いコートに黒いブーツの黒づくめ、顔の半分ほどもある大きな丸眼鏡をかけ、お供にしゃべるコウモリ「セン」、謎の棺桶(中身は1巻で、理由は2巻で判明)を背負って、黒い魔法を使う魔女を探して旅をしています。

 第1巻ではいろいろあって出会った二人の幼女?と一緒に旅をすることに。彼女たち──ニジュクサンジュは、見た目は可愛い女の子ですが(尻尾やネコミミがあったり、大きいけれどどこか虚ろな眼をしてるけど)特種な能力も持つ人造生命体の生き残り(29と30番目の──)。地下に閉じ込められていたけれど、作ったはかせたちは死に、その死もこれからどうするかもわからなかったためにクロに同行することに。舌足らずで悪意のないその無垢な感性と笑顔が、笑わないクロに次第に優しさを思い出させていきます。
 第2巻ではクロの過去がクローズアップされ、旅の途中で出会い旅人の心得を学んだ思い出深い異形の旅人との話や、生い立ちは不明のままですが旅を始めたばかりのころの様子、そして背負って歩いている棺桶の出自とその思いが描かれています。旅の原因がはっきり描かれていないためまだまだクロの背負うものがすべて解明されたわけではありませんが、第2巻で──特にクロが出会った少女モーのエピソードにより、その重さが示されてより物語性が増しています。不安そうな童話風なのは同じだけど、より原初の童話のような、人の思いよりも取り戻せない運命の残酷さが現れて。第1巻で出会ったニジュクとサンジュとのふれあいも、クロにときおり現れる不安も、いつか、いつでも、すぐにでも唐突に訪れる別れを予感させて物凄く不安にさせてくれます。

 少し硬めで素朴なラインのある意味昔の童話の挿絵風な絵柄と四コマ独特のキレのいいテンポがすばらしい漫画で是非ともお薦め──ああ書き忘れてましたが、これ四コマ漫画です。連続する数本で一話のエピソードが描かれるストーリー四コマと呼ばれるジャンルですが、四コマだけでなく大コマも使用してストーリーが展開します。

 さて『柩担ぎのクロ。』を紹介してるところの中から、「おふらいんver2」さんのところの第2巻レビュー記事にリンクを。私のなに書いてるかわからん記事よりも第2巻のキモを的確に書かれてるかと。但し画像とともにネタバレレビューなので、読む前には見ないこと。じっくり本を読んで──ほんわか、しみじみ、どきどき、わくわく、げっそり、驚愕、しくしく、ほうほう、最後にカバー裏見てニヤリ、してから記事を見ると良いでしょう。

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コメント

 第二巻、ようやく二読し終わりました。先月に買ってたのですが。
 本巻には、少々もやもやを感じました。うーん、早く続きが出ないかしら……。

投稿: 翡翠 | 2007/07/15 22:47

 雑誌を先日見かけてつい読んでしまいました。今月号はほんわか話でした。第2巻で言うと、汽車で偶然であった青年の話と同じタイプ。偶然の出会いだけど、彼らにはその旅人との出会いが人生の良き思い出になる、そんな話。

 以下、単にひとりごとかな。

 偶然ですが、この記事を書いたあと、あるサイトのリンクからネットで公開されてる、某青年漫画雑誌の漫画(完結)の二次創作(つまりパロディですが、原作のシチュエーションを借りて作者独自の話を作るタイプでした)の四コマ漫画を見つけ、それを見て猛烈にヘコみました。原作も大概ひどい話だなぁと思いましたが、こっちはストーリー四コマでシンプルで最低な悲劇を描いてるだけにシャレにならないダメージ。ただのお涙頂戴のヤラセ的な逆の意味でご都合主義的展開、見た目はかわいくシンプルな絵柄なだけにいっそうむごく、計算どおりのパターンで上げ、落し、誰もが想像するオチにくるけど当然ほっとできない後味の悪さ。人によっては凄いトラウマ確定な──って書いてて思い出したら胸がドキドキしてきたな。また冷静に「このシナリオ、これは穴があるな」とか分析してしまったりしてそこに計算が見えてるのにダメージを受ける自分にも絶望するわ。人によってはそこに笑いも生まれるのかもしれませんが、ふーんてな感じで見てるならともかく、隣で笑ってるやつがいて覗き込んだらあれ見てたってシチュがあったら絶対引く。とまあダメージ受けまくりでした。
 多分無条件で可愛がるしかないペットを持ったことのあるひと(ペットは飼い主の鏡です)、子供が生まれ育つ様を見てきたひと(子供は親の鏡です)、キツいイジメにあったことのあるひと(私は反撃もしたし学校も休まなかったのである意味たいしたことはないが、年寄りになろうが中心人物は許さん)などには感情移入できるスキが多すぎるんじゃないかな。うちの娘(犬と猫だが)にエアガン撃つようなやつがいたら、市中引き回しにされたってまったくかわいそうだと思わんよ。

 あー、直にじゃないけどその二次創作四コマ漫画ネタの一つにもなってる「ガンスリンガーガール」で今月号で一つの悲劇が収束しましたが、私にとってはあれは多少の衝撃と泣ける話ではあったけど、衝撃を受け怒りを覚え漫画内で殺意を覚えるような内容ではなかったことを記しておきます。ちなみに「ガンスリンガーガール」は私のあまり好きでない漫画の一つです。よくできてるし、あれば読むこともあるけど単行本買う気にはならない。最初のほうの印象のせいかな。「デビルマン」なんかの悲劇は傑作として読めるのに、この手のものが嫌なのは年とった証拠か、人間にたいしてまだまだ甘い願望を抱いているのか──。

投稿: やずみ | 2007/07/16 02:06

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