« ゲームをしてる(格好の)ねこ | トップページ | V作戦、その前に。(3)勇士はそろった。馬はまだか。 »

影の世界の仮面ライダー。

 ニュースソースは毎度おなじみGiGAZINEさん。
 かつては味方だったはずの仮面ライダーと人類との戦い「Hybrid Insector」 - GIGAZINE


 『鉄(くろがね)のラインバレル』という漫画があります。絵はクセがあるものの上手いほうで、話もさらにクセのあるものですが、本質は日本のアニメ・コミック世界で定番の巨大ロボットヒーローもの。とっかかりは結構悲惨ですが。
 著者は、原作:清水栄一、漫画:下口智裕のコンビ。前に少年画報社で『無敵番長バクライガ』という連載をしていましたが、気が付くと終わってました(第一部終了だったかで打ち切りか?)。どちらも立ち上がりがいまいちで、『ラインバレル』もどうなることかと心配でしたが、今のところなんとか続いているようです。

 さて、GiGAZINEさんの記事ですが、この二人がWebサイトで無料コミックを公開してるということでした。
 それもなんと『仮面ライダー』を。
 『ストロンガー』までの7人ライダーの設定を(多分)そのまま引き継いで。
 歴史改変的に続編で。
 しかも人類の敵として追われる近未来を背景に。

 これがなかなかにおもしろい。いや人類の敵の発想自体は今までにもないこともないけど、基本的にショッカーの一員としてのライダーとかで脳改造されてるのがほとんど、自由意思を持ったライダーが(実際には政府というか一部グループの思惑で)人類の敵として認知されるというのはなかったと思います(クウガのように知らない人からみたらというのは除く)。しかもこれが人側の身勝手な思想で、対ショッカー戦闘員として某グループ側の意思で作られた量産仮面ライダーも含め対ショッカー終戦後にHYBRID INSECTORと呼称され、虫狩りと称して追われることになり……なんと人類側の戦闘員と死闘を繰り広げるという。人類側の戦闘員を虐殺するライダーの闘いっぷりに違和感を覚えつつも石ノ森ダークヒーローの系譜につらなる何かを感じ取りました。

 現在商業誌では『マガジンZ』誌で村枝賢一氏が正伝ともいえる『仮面ライダーSPIRITS』を連載しています。こいつは、正直それまでの私の村枝漫画のイメージを一掃しました。いや熱血というか燃えるものは確かに他の漫画にもあったのですが、ヒーローの苦悩、熱血などがすべて盛り込まれたものは今までになかった(と思う)。今では正統派ヒーロー物(劇中であれ劇外であれ)を描く現行作家としては第一人者だろうと思います。

 そしてある意味石ノ森漫画のダークヒーロー物を描く現行作家としては、彼ら二人が第一人者になる可能性が相当高いかと。絶対的に足りないのは叙情性より寓話性かな。石ノ森作品にはしばし出てくるそれは今のところ見当たりませんし、人類の業のようなものも無く、石ノ森ライダーによくある公害などにおける人類の社会的傲慢さや親や親友などの個人対個人の対決などはいまのところ薄いです。
 さてダークヒーロー物の後継者としては島本和彦の『スカルマン』などもありますが、島本の作風がギャグのイメージをどうしても引きずり(効果など多少変えてるけど、画面全体のイメージがあまり変わらない)、話自体も当時の石ノ森作品を上手く自分のところに持ち込んでいるとはいえ、やはり石ノ森の持つ叙情性というかクールな細密画的一枚絵のイメージにも連なる魅力を引き継いでいないところが最大の弱点。『スカルマン』は力作だし傑作未満ですが(原作者に準じたわけでもないが、雑誌等の問題で完結できなかった)、そういう意味では石ノ森作品の味を殺しているところがあります。

 しかしこちらの『Hybrid Insector』はそういう画面の魅力がところどころ石ノ森漫画に通じる物があります。言わば立ち絵のカッコ良さ。人を瞬殺してる怖い絵だというのにヒーロー的魅力があせないアクションシーン。すべてがある意味正統派村枝ライダーの熱さと意思の影のような、魅力。ただ、村枝ライダーを読みライダースピリッツを染み込ませていると、逆に違和感を感じるところがあるのも事実。たとえば、和智正喜氏の小説『仮面ライダー 誕生1971』の揺れ動く本郷ならばこういう立ち位置に来る未来もあったかもしれない。しかし7人ライダー後のとうに覚悟完了している彼らが(今のところ風見志郎だけだけど)果たして人をこうもあっさり殺すかどうか(ただし被戦闘員は積極的に殺害はしないし、怪人から一般の母子も助けます)。特に『SPIRITS』では現在風見にスポットライトが当たっていて物凄く燃える展開なだけに、その相違はかなりのもの。それだけに双方をまっとうに賛辞するのはかなり乱暴かもしれません。
 それでもなお、多少ながら端々に仮面ライダーに対するリスペクトは感じますし、ライダー迫害の張本人ら謎の組織の身勝手さというか傲慢さ(殺されるに値するかどうかはともかく、「正義のための組織」ではない)、そしてその背景、風見がただやさぐれたりあきらめたわけではない演出などただのヒーロー転落物という感じでもなく、先の見えない楽しみがあるのは紛れもない事実。
 特に最新のChapter 06はようやくライダー迫害の背景がじわじわと出始めてるし、異様にカッコいいコマなどもあってシビれますね。ぜひともChapter 00からじっくりとお読みください。

 って、肝心のサイトはこちら。
 ナデガタサーカス
 トップからして、クライマックスです(笑)

|

« ゲームをしてる(格好の)ねこ | トップページ | V作戦、その前に。(3)勇士はそろった。馬はまだか。 »

コメント

 かっこいいですねー。「俺の科学力は完璧だ」の極め台詞にしびれました(月並みなつぼに反応して恥ずかしい……)。
 質・量ともに、プロの余技の範囲を超えてますね。とても面白いです。
 設定も、オリジナル(『ストロンガー(比較級?)』まで?)やら、平成版やら、和智正喜版やら、Nervやら(?)のハイブリッドなのかしら。

投稿: 翡翠 | 2007/02/23 23:14

 翡翠さん、こんにちは。

 かっこえーですなー。
 私は大切断!にしびれました。早く本郷猛やストロンガーがちゃんとセリフ付きで出ないかな。……ってまだまともに姿が出てないのは隼人と城茂だけ?
 設定、遺伝子改造やら強化服の下で変身してて強化服に対応してるってあたりは和智さんの小説から来てる気がしますね。アンチショッカー同盟の非情さ身勝手さも同じく。
 ライダーが7人までなのは、Blackの敵や設定の性格がかなり違うせいかも。無論作者の好みもあるだろうけど。

投稿: やずみ | 2007/02/24 03:09

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 影の世界の仮面ライダー。:

« ゲームをしてる(格好の)ねこ | トップページ | V作戦、その前に。(3)勇士はそろった。馬はまだか。 »